山とカメラ vol.1 “やわらかい光”で優しい雰囲気の写真を撮ろう

山登りが大好きなみなさんに、もっともっと山を好きになるためにオススメしたいのは「カメラ」。ファインダーを通すと、いろんなことに敏感になります。光の美しさや何気ない被写体の魅力に気づいたり……。せっかくならお気に入りの一枚を残したいもの。今回から4回にわたって雰囲気のいい写真を撮るコツを写真家:野川かさねさんに伺います。第1回のテーマは「”やわらかい光”で優しい雰囲気の写真を撮ろう」。同じ被写体でも「光」によって、写真の印象はガラリと変わります。光に注目するといつもの写真が抜群にステキになりますよ。


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やわらかい光(1)

曇り空

太陽が登る直前の早朝の「尾瀬ケ原」。
あたり一面に朝靄がかかり、湿原がやわらかい光に覆われていて美しい光景が広がっていました。
木道に立って、湿原を眺めながら一歩引いた距離から撮影。
広い湿原の広がりや、朝靄で奥がボケて見える感じを目でみたままに表現できた一枚です。(野川かさね)

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撮影ポイント

  • 光=曇り+被写体の正面から当たる「順光」。
  • ピント=手前の植物に合わせる。奥がボケて奥行き感が感じられる写真 に。
    方法:「シャッター半押し」でピントを固定。
    また、「絞り(F値)」が設定できるカメラの場合は
    小さい値(例えばF2.8など)に設定。
  • 構図=周囲の空や木道などの被写体を入れずに切り取ったことで、湿原 がずっと続くイメージに。

カメラ/Nikon FM2
レンズ/NIKKOR 50mm F1.4
フィルム/Kodak Gold 100
設定/マニュアル(F値:F1.4、シャッタースピード:1/60)
被写体までの距離/約2m


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やわらかい光(2)

逆光(明るく補正)

八ヶ岳を登りながら見つけた大好きな「アザミ」。
逆光下にある画面中央のアザミに露出(写真の明るさ)を合わせるために、
明るく撮れるようプラスの露出補正をすると、光に包まれたようなふんわりとした印象に。
葉っぱなど光を透過するものは、逆光で写すと透明感があってキレイです。(野川かさね)

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撮影ポイント

  • 光=晴れ+被写体の後ろから当たる「逆光」。
  • ピント=画面中央のアザミに合わせる。
  • 露出(写真の明るさ)=画面中央のアザミに合わせる。
    方法:「+/ー」の露出補正ボタンを「+」側に補正。
  • 構図=花や葉の茂った中にアザミの花がバランス良く収まるように。

カメラ/Nikon FM2
レンズ/NIKKOR 50mm F1.4
フィルム/Kodak Portra NC160
設定/マニュアル(F値:F4、シャッタースピード:1/60)
被写体までの距離/約50cm


なるほどコラム

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1.携帯コラム

カメラを持ってない人も挑戦しよう!
カメラ付き携帯電話

入門者は「カメラ付き携帯電話」から始めてもOK!
野川かさねさんが愛用するのは、スマートフォン『BlackBerry Bold 9780』。
撮影のコツは漠然とシャッターを切るのではなく「光をキレイに取り入れられる構図を探す」こと。みんなにメールして楽しめるのも携帯電話の魅力。

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富士山から見た夕方の雲海。
西の空にはきれいな月が出ていた。

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ネパールで登った山の山頂。
タルチョと呼ばれる五色の旗には経文が書かれている。


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2.撮影コラム

3~5月上旬におすすめ。
フォトジェニックな残雪

融けずに残った雪と木々の緑が同時に存在する「残雪」は、写真を撮るにも絶好のシーズン。「雪の白」と「木々の緑」の色合いの美しさをぜひ写真に収めましょう。季節が冬から春に移るこの時期は、歩いていると体が温まってくるので、山登りも気持ちよく楽しめますよ。

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北アルプスの蝶ヶ岳。
夕方のまだ明るい時間帯に撮影。

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上と同じ日に撮った一枚。
時間が経った夕方の赤っぽい光で撮影し、
温かみのある雰囲気に。


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野川かさね(のがわ・かさね)

写真家。 ホンマタカシ氏のアシスタントを経て、フリーランスとして活動する。
著書に『山と鹿 DEER MOUNTAIN』(ユトレヒト)『Above Below』(Gottlund Verlag)などがある。
アウトドアユニット「noyama」や、クリエイティブユニット「kvina(クビーナ)」として展示、
書籍の制作やイベントも行っている。

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写真集『Things not to do in Colorado River』

グランドキャニオンを流れるコロラド川を下った旅の写真集。25日間、
450マイルの旅の時間を垣間見れる一冊。フランスと日本のtwelvebooksとの共同出版で、
日本での取り扱い店についてはtwelvebooksのTwitterにて随時更新予定。

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ガイドブック『Mi amas TOHOKU 東北が好き kvina×SHOE PRESsの観光案内』

野川さんが参加するクリエイティブユニット「kvina」と宮城県仙台市にある編集プロダクション
「SHOE PRESs(シュープレス)」が東北を紹介するガイドブックを制作。
少しずつ復興している沿岸部の街、ほっこり温かな祭、
変わらずおいしい食べ物などを野川さんの写真などで紹介している。
http://miamastohoku.posterous.com


山とカメラ

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