写真家として、日本のみならず世界中をフィールドに駆け巡る谷口 京さんが、北アルプスの燕岳(2,763m)へ。
ザックは「cougar 40-55」をセレクト。10年ほど前に同モデルを入手し、世界中を旅していたという谷口さんが、その最新モデルを背中に山を登ります。
訪れたのは残雪多い6月初旬。1泊2日のテント泊山行の様子を前・後編にてお届けします。

朝起きると昨日までの曇天がうそのように晴れ渡り、眼下には雲海が広がっていました。山小屋に泊まっていた登山客はにわかに飛び出し、予期せぬ風景をカメラにおさめていました。どこまでもつづく雲海はめまぐるしく波打ち、わずか数十分のうちに消えてしまいました。
- 燕山荘からテント場を振り返ると、その先には燕岳を望むことができます。山頂には、朝焼けを見に行った登山客がちらほら。ちなみに山頂までは、ここからは約30分ほどのコース。多くの登山客は荷物を置いて山頂へ向かいます。
- 一面に溢れる光のなかシャッターを切る谷口さん。刻一刻と変化する雲海と山々に向けてシャッターを切ります。6月とはいえ、標高2700mではまだまだ寒さが厳しいため、防寒には念を入れます。

一瞬ではありますが、槍ヶ岳がその峻険な峰を見せました。天に向かってそびえるその頂の姿は、他の山々よりも際立っているため一目瞭然。雲がかかり、威容さを放っていました。
- テントを片付け、燕岳へ向かいます。登山道は劣化した花崗岩。砂っぽい足下をしっかりと踏みしめて歩きます。不思議なかたちをした奇岩の間を縫う様に走る登山道を歩いていきます。
- ピークへ向かう途中、雷鳥が姿を見せました。つがいで行動する特性があり、近くにいるであろう雌鳥を守るためか雄鳥は高いところから見張っていました。
- 燕岳の山頂まであと少し。西側の斜面はハイマツが顔を出し、独特の表情を見せています。途中にはメガネ岩などの自然がつくり出した造形があり、すれ違う登山客は誰もが満足げ。この先、北燕岳へのルートは残雪が多かったため、ほとんどの登山客はここで引き返していました。
- ついに燕岳山頂(標高2763m)に到達。雲の合間からは、大天井岳から常念岳につづく尾根に縦走ルートが伸びているのが見えました。山頂ではコーヒーを淹れ一休み。荷物をまとめて下山の準備をしました。
- 運よく好天に恵まれた今回の登山。残雪期の日本アルプスを満喫できました。現在は雪もほとんど溶け、高山植物の花々があたりを彩っているようです。残雪期はアイゼンやピッケルなどの本格的な登山道具は必要ですが、夏期はアルプス登山の入門にも最適。登山をステップアップしたい人にもオススメの山です。
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谷口京(たにぐち・けい)
写真家
日本大学芸術学部卒
宮本敬文氏のアシスタントを経てニューヨーク市ブルックリンを拠点に独立。雑誌・広告・カタログ等の仕事のかたわら中南米やアフリカなど世界各地を巡り、2004年に帰国。写真家としての活動のほか、アフガン復興支援や環境保護など社会的な事柄にも積極的に参加している。ヒマラヤをはじめ国内外の登山に取り組む冒険好き。
http://www.keitaniguchi.net
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