karrimor mountain journal vol.5 北八ヶ岳

お久しぶりです。はらぺこガールです!早く先輩たちについて行きたいと完全に張り切りすぎ、腰を痛めてしまいました…。でももうご安心ください。すっかり良くなりました(vol.3を担当してくれたリュックキャンプのRUC先輩、vol.4を担当してくれた絶景ハンターのマツ先輩のバックナンバーをまだ見てないという方は、是非ご覧ください)。

今回のテーマは、「秋の味覚を山で食べたい!」「なまった登山筋を復活させたい!」「レベルアップもしたい!」「前回デビューを果たしたテント泊をしたい!」…と、盛りだくさん。仕方ありません、山に行きたくて仕方がなかったのです。

そこで先輩から欲張りな私に、この時期ぴったりの山があるよと教えてくれたのが北八ヶ岳、いわゆる「北ヤツ」です。のんびりと登山の感覚を取り戻すのに最適な森歩きができる場所だそう。せっかく山に行くのだからピークハントもしたいと言うと、北横岳、さらには大岳も目指してみようというルート設定に。八ヶ岳は小屋ヶ岳と呼ばれるほど小屋が多い反面、意外とテントを張れる場所が少ない山域。北ヤツでテントOKなところといえば、双子池ヒュッテ!テント場はここに決め、ピークハントをする北横岳を経由するために、竜源橋という登山口からスタートすることに。じつは、北横岳にはロープウェイで簡単にアクセスできるのですが、今回は却下。私は自分の足で登るのです!

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登山口へとつづく道で見た紅葉も、標高があがっていくとすでに散ったあと。でも、落ち葉の絨毯をサクサクと鳴らすたび、久しぶりに山に来たなと心が躍ります。前回の木曽駒ヶ岳登山は夏山。肌で感じる冷っとした空気にちょびっと緊張。

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しっとり感が綺麗な笹の道、大小さまざまな石や岩が苔に包まれ、積み重なった道。傾斜はゆるやかなのですが、繰り返す景色は「本当に進んでいるのか…!?」と疑ってしまうほど。でも、変わった植物は生えていないかな?と楽しみを見つけてリズム良く歩みを進めることができました。

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お昼ご飯は亀甲池…の予定がなんと!池が涸れているではありませんか…。以前ここへ訪れたことのある先輩もびっくり仰天。自然の移り変わりの早さを体験しました。でもその名の由来である、涸れた跡が亀の甲羅のように見えることから「亀甲池」と言われる現象を見れたので、良し!

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ここでお楽しみのご飯の時間。はらぺこガールの山ごはんは手を抜きません。山で食べるご飯は本当に美味しいのです!でもやっぱりこだわり過ぎると装備が増えて荷物が重くなり、行動に負担がかかります。いかに妥協しない荷物を選べるか、バランスの着地点を模索している真っ最中ですが、今回は同じ食材を使い回し、アレンジを変えたご飯!をテーマにしました。そして冒頭でもあったように、秋の味覚もしっかり堪能しますよ。

秋の味覚かぼちゃ、ウィンナー、ミニキャロット、そして目玉焼きでワンプレートを作ります。「生卵なんて山に持っていけるの?」「過剰包装しなきゃいけないんじゃない?」と思う人も多いはず。卵ケースという素敵なグッズがあるんです。実は今回はじめての使用でしたがコンパクトで本当に丈夫!山ご飯の幅も広がるのでオススメです。そしてもうひとつ便利グッズをご紹介。コッフェルにジャストサイズな形状になっているクッキングペーパーです。これを敷けばコッフェルも汚れないので洗う手間と水の削減、そして卵も焦げ目がつかずに全て綺麗に平らげられるんです!これはいろんなシーンで活躍してくれそうなグッズなので、みなさんもお試しください。

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お腹も満たしたところで、いよいよ北横岳山頂を目指します。コースタイムは1時間20分。しかし、登りはじめて20分も経たないうちに、何度も見てしまう時計と地図。そして見るたびに進んでいない時間と場所…。急登になると足上げの回数も増え、苔が多い岩場は慎重に足を着くのでスピードも落ちてしまいます。こんなに歩いたのに全然進んでない!と先輩に弱音を吐いてしまいました。もっとウキウキ森歩きのはずは、思ったよりもきつい急登。ここでは何度も心が折れかけました。

いつも自分の歩みをフォローしてくれるストック。しかし、岩ばかりの急登では両手がふさがっていることが危険に思えたので、ストックはしまいました。両手をあけて岩を掴み、安全を確かめながら登ることに。

北横岳山頂まであと10分くらいのところに到着。もうすぐだー!やったー!と喜んでいると「がんばったじゃん!」と先輩から言われ、若干気が抜けてしまいました。これからはご褒美の言葉は山頂でお願いします(笑)。私に後輩ができたときには同じように励ましてあげようと思いました!

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樹林帯を抜けた瞬間、視界が広がりました。やっと山頂に到着です。眩しい青空を眺めながら、地上よりもっと冷たい風が頬に当たったときは「もう秋は終わりだよ」と空気が言っているように感じました。私達が到着したときは誰もいませんでしたが、ロープウェイルートから登ってきた人達に出くわし、こじんまりとした山頂はすぐに賑わいました。見渡すと遠くには赤岳をはじめとする八ヶ岳の峰々が見えます。私にはまだまだ先の話かもしれませんが、いつか登ってみたいと思う山脈を眺めながら、次の目標、大岳へと向かいます。

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北横岳山頂を出発する時、「この先難路」の看板を見かけ、内心不安がよぎりました。その不安はすぐに的中!上り下りも足場の悪い岩の道。不規則に組み上がった自分の背丈より大きな岩が立ちはだかったときは、クライミングを勉強しておけば良かった…と思うほど。

人生にはいろいろな「逃げられない」シーンに沢山遭遇すると思います。私もいくつも逃げられない場面はあったのですが、大抵は少しだけでも避けることができます。しかし、山という場所は「本当に逃げられない」。どんなに辛くても、足を止めたところで進みません。日が暮れてしまいます。進むしかない。人生山あり谷ありと例えられる山ですが、まさにその通り。逃げられない環境になった時に自分がどこまで頑張れるか…と、人生についても考えてしまうほど、はじめて経験した2つの急登でした(笑)
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結果コースタイム約5時間のところを約6時間というかなりのオーバータイムでした。時間と体力の関係を考え、途中の大岳は時間にすると10分、あともうひと山越えた向こうがピークでしたが、踏まずに心残りのゴールイン。山荘が見えたときはいつも心からほっとする瞬間です。何人もの登山者の疲れを吸い取ってくれているであろう、このベンチに私も腰を下ろし、少し休憩。山荘からテント場は双子池をぐるっと回って丁度反対側なので、もう一踏ん張りが必要です。

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森の中の池はどこか神秘的な空間でした。予定時間より遅い到着となったため、日没間近。明かりがあるうちに急いでテントを立てます。どんなに疲れていても、寝床は自分で作らなくてはなりません。テントが立て終わったら、夕ご飯!

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カマンベールチーズを丸ごとアルミホイルで包みバーナーで熱します。フォンデュするかぼちゃ・さつまいも・ウィンナー・人参・ペコロス・パンは家で事前にカットし一度レンジで温めてから持って行きました。お皿に並べている間にチーズからいい香りが…!オリーブオイルをひとさし入れたら出来上がり。まずはチーズフォンデュを楽しみ、2品目は残りのチーズの中に野菜を入れて和えます。コショウを少しまぶしてできあがり!どちらも大成功!とっても簡単なのに贅沢な気持ちになる、素敵な夕飯になりました。

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ご飯を食べ終えると、いつの間にかあたりは真っ暗に。池のすぐ横がテント場という立地上、どんどんと冷え込み、冷気が押し寄せます。ご飯の道具を片していると、突然先輩がヘットランプをつけて走り出しました。何事かと見ていると、カメラを三脚で立てて、シャッタースピードを遅くする事で光の残像が映る技法で遊んでいる模様。私も加わりkarrimorの「K」を描いてみました。しばらく走り回っていろいろな柄や文字を描き楽しみつつ、体を温めることに。

いくら動き回っても、やっぱり寒さに耐えきれなくなり全員テントへ避難!ここからは個々の時間です。私はテントの中で荷物の整理をし、少しだけ日記をつけ、疲労と眠気に勝てず18:30には眠ってしまいました。ふと夜中目が覚め、時間を見ると0:20頃。前回の木曽駒ケ岳では圧巻の星空を目の当たりにしたので、これから山の夜は絶対に星空を眺めると心に決めていました。ワクワク寒さを我慢しながらテントから出ると…雲がかかり月も見えないほどの曇り空。天気ばっかりは分からないので、仕方ないと思いつつ心から残念でした…!

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「冬はテントの中で霜が降る」と先輩から聞いたことがあったのですが、本当に降ってくるとは…。テント内の温度と外の温度差が激しさがわかる現象です。地面は霜が張り凍りの粒が目で見えるほど。フライシートは凍り、畳むときは手がキンキンに冷えて痛かったのを覚えています。

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昨晩のチーズフォンデュが意外にもボリュームがあったので、朝食へ持ち越したスイートポテトで朝食。これも家で事前に作り焼くだけの状態まで準備をして持ってきました。スイートポテトのお供はカモミールティ。冷えて強張った体をほぐしてくれ、体を温める効果のあるカモミール。さらにはちみつをひとさし入れると、疲労回復の効果もあるんですよ。ちなみに、カモミールティは寝る前に飲むとさらに効果的と言われており、私も昨晩ほっこりしてから眠りました。

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帰り道は行きの半分程のコースタイムで約3時間の予定です。前日の急登で、日頃使っていない筋肉達が一斉に目を覚ましたようで、翌日には痛みに変わっていました。先輩の時計に備え付けてある気圧計がぐっと下がり、雨の予感。少し早歩きで下山することにしました。

今回はリハビリを兼ねた登山だったので、森のなかを歩く優雅な山行になるとイメージしていた私にとって、予想外の修行のような体験でした。秋の終わりという微妙な季節だったためウェアリングには最後まで悩みましたが、速乾性のあるアンダーウェアに、保温性のあるフリース(alpiniste W’s fleece)を合わせることで体温をうまく調節。ソフトな着心地で行動にストレスがなく、チョイスは正解。また、リュックサックはcougar 40-55をセレクト。強度の高い「KS – N500k」は生地が引裂強度と耐摩耗性に優れいるため、リュックサックが擦れる場面が多い岩場の登山向きだと感じました。また、カリマー自慢のショルダーハーネスは、体と荷物が離れず安定するため、岩場などで体が振られるようなシーンでも安心して歩くことができました。

山をひとつ登るごとに経験と知識が増えていくのですが、今回は「課題の見えた」登山になりました。急登で荷物の重さに耐えられてなかったことが一番大きな問題。重い荷物を背負っていなくても、きっと足上げの多い岩の道が今の自分にはキツかったと思います。むかし、ソフトボール部時に取った杵柄を過信していたな…と反省。今後の筋力作りについて考えさせられました。ステップアップに向けて、日々のトレーニングしなくては…!

次の回では、登山のためのトレーニング登山!なんてテーマで登ってみるのもいいかも!と考えています。次回もお楽しみに!

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【ギア紹介】

●リュックサック(cougar 40-55):人間工学に基づいてデザインされたハーネスやパッド類が積極的な登山をサポート。フィット感と荷重伝達に優れた〈SAシステム〉搭載。
●ポーチ(VT hip bag B):テントに大型ザックを降ろしてからの周辺散策の際に便利。
●フリース(alpiniste W’s fleece):軽量性・保温性を重視してつくられ、ソフトな着心地は行動中のストレスにならない。
●パンツ(rona FS W’s pants):伸縮性が優れ、表面に撥水・裏面に吸水加工を施した通年で活躍できるパンツ。
●ダウン(vinson W’s down parka)・ダウンパンツ(ultimate down pants(unisex)):軽くて保温性抜群。収納時はコンパクトになるのもメリット。
●レインウェア(phantom W’s jkt)・レインパンツ(boma NS slim pants (unisex)):今回は使いませんでしたが、レインジャケットと合わせて必携です。
●ワレット(VT wallet):ポケットが多く小分けになっているので、絆創膏なども入れておけます。


●テント:MSRのハバハバ ●シュラフ:NANGAのUDD BAG 280DX ●エアマット:THERMARESTのWomen’s NeoAir XLite ●シート:THERMARESTのZ Seat ●ストック ●ヘットランプ ●デジタルカメラ●食材:水500ml×3 水筒1ℓ×1 昼夜朝の3食分(かぼちゃ・さつまいも・ミニキャロット・ペコロス・ウィンナー・パン・卵・カマンベールチーズ・スイートポテト・バター・オリーブオイル・カモミールティ・はちみつ) 2日分の行動食 ●バーナー、ガスカートリッジ、コッフェル:●ノート:今回地図をカラーコピーして貼りました。●食器(EcoSouLife)・木のプレート・卵ケース ●パワーバンク(OUTDOOR TECH)カメラや携帯で写真を撮る事が多いので、すぐに充電できるよう持っていれば安心のアイテム。 ●キャンドル:小さな明かりを眺めると癒されるのでおすすめ。


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はらぺこガール

性別:女性
登山歴:半年のビギナー
趣味:写真を撮る・絵を描く・ソフトボール

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