世界中を旅するTRANSITが、karrimorのアイテムとともに旅した裏話を公開。今回はバックパック〈ridge 40〉とともに、ネパールの北、エベレスト街道へ。首都カトマンズから標高2,860mのルクラへ飛び、クンデ・ピークという山まで標高差約1,200mをトレッキングした。ヒマラヤの麓に生きる人たちの生活道でもあるエベレスト街道を、名峰に見守られながら歩いた12日間の旅。
まずはカトマンズの朝市。アサン・チョークを散策
カトマンズの朝は早い。旅人が集まるタメル地区に宿をとり、翌朝、南下するように歩いていくと、バイクや通行人の往来でにぎわうアサン・チョークに出る。交差点のような広場が市場となっていて、果物や野菜、肉、スパイスが所狭しと並べられている。ネパーリたちの台所を想像する。
ルクラからいざ、エベレスト街道へ。
カトマンズから飛行機で、エベレスト街道の入り口となるルクラへ。ロッジやレストラン、バー、アウトドアショップが並ぶ街だが、12月のオフシーズンは静か。スタート地点のゲートに飾られている女性の像は、ネパール人女性で初めて登頂を果たしたパサンラムさん。背中に彼女の静かな励ましを受けて、はじめの一歩を踏み出す。
ロバやゾッキョも働く、運ぶ。
道の前から、または後ろから、鈴の音が聞こえてくると、人間は道の端っこへ移動しなければならない。エベレスト街道では、雄のウシと雌のヤクをかけ合わせたゾッキョやロバなど、荷役の動物たちと何度もすれ違う。ガスや油といった重い荷物を背中に乗せて歩を進める彼らは、このエリアの大切な労働者だ。
腹ごしらえは、ネパールカレー。
標高2,835mモンジョのロッジでお昼ごはん。新鮮な青菜と人参、チキンカレーをあっという間に完食。付近で採れるという山椒をスパイスに振りかけ、唇が痺れそうになる。カレーとご飯をお代わりし、甘い紅茶でごちそうさま。ロッジごとにカレーやダルバートの味が違うがどれも美味しい。疲れをつかの間忘れさせてくれる。
エベレスト街道最大の街、ナムチェ。
モンジョを越えたあたりから続く急坂にヒーヒー言いながら、標高3,440mのナムチェに到着。街の入り口となる門や、チベット仏教のストゥーパ(仏堂)、マニ車はそれぞれ立派で、大きな街であることがわかる。2015年の大地震後、支援で新しく造られたという洗濯場で、女性たちが一生懸命服や絨毯を洗っていた。
ナムチェから、パノラマルートを歩いて。
次の目的地であるクムジュン村まで、絶景を見ながら歩くパノラマルートを選んだ(エベレストのベースキャンプまで行く人は、早ければ1時間ほどで到着してしまう急坂ルートがある)。つづら折りの山道を越えて行くとアマ・ダブラムやローツェといったヒマラヤ山脈のスターたちが現われる。そして左端に、エベレストの山頂が少しだけ姿を見せた。
シェルパの人たちの冬支度。
多くのシェルパの故郷であるクムジュン村。キャンズマからクムジュンへと歩く途中で、薪をぎゅうぎゅうに詰め込んだカゴを置き一休みしていたシェルパの人びとに会った。一年に一度、ひと家族に1人だけ、木の伐採が許される1週間があるという。厳しい冬を迎える前の、彼らにとってとても大切な仕事だ。
ヒラリー卿が愛したクムジュン村。
積み石の壁と緑色の屋根が特徴的なクムジュンに到着。美しいヒマラヤ山脈に囲まれた、小さく静かな村を散歩する。1953年、エベレストに最初に登頂したイギリス人のエドモンド・ヒラリーが、特に愛したといわれるのがこの地だ。彼は基金を創設し、ヒラリー・スクールという学校を作った。
ホテル・エベレスト・ビューに到着。
エベレスト街道の半分くらいの距離に、日本人が建設した「ホテル・エベレスト・ビュー」がある。クムジュンの丘を少し登ったところに佇むクラシックホテルで、到着するや、ネパール人スタッフがここまでの道の労をねぎらい、もてなしてくれた。暖炉の火を感じつつ、久しぶりの日本食をいただく。夜は、無数の星が降り注ぐ満天の空を部屋から眺めた。
4,200mのクンデ・ピークにトレッキング。
3,800mのクムジュンから隣村のクンデまで歩き、クンデ・ピークへトレッキング。高い標高には慣れたと思っていても、登っていくごとに酸素は薄くなり、すぐに息が切れてしまう。放牧されているヤクや、凍ったツララ、霜の降りた草花を眺めたりしながら3時間ほどで登頂し、昼食。ホテルで握ってもらったおむすびの、なんて美味しいこと。
エベレストを望む最後の朝。
濃藍の空が薄くなり、山肌がじょじょにオレンジ色に染まっていく様子を見つめる。それだけで心が震える朝6時半。旅の9日目、来た道を戻る日だ。クムジュンから急坂を下って1時間ほど歩くとあっというまにナムチェに着いてしまう。来るときはあんなに大変だったのに、地図では指先でほんのすこしの距離なのだ。
おっかない吊り橋とも、さよなら。
頼りない吊り橋を、いくつも越えて歩いたエベレスト街道。ここで暮らす人たちが何度も行き来しながら橋をかけ、祈りを込めてタルチョを結んできたのだろう。学校へ向かう子どもたち、重い荷物を背負うポーター、ゾッキョやロバが吊り橋を歩く姿は美しい。轟々と流れるエメラルドブルーのドゥードゥ・コシ川に別れを告げ、ルクラへと戻って行く。
- TRANSIT 編集部
ネパールを特集したTRANSIT43号で、取材クルーはエベレスト街道や、西の秘境といわれるドルパ、古都として知られるパタンやバクタプル、インド国境にほど近い南西のニムディ、東のカンチェンジュンガからランタンまでGHT(グレート・ヒマラヤ・トレイル)を歩くなど、ネパールの各地を巡りました。ヒマラヤや貧困国としてのイメージが強いネパールですが、実際に歩いてみると、多様性に富み、信心深い人びとたちのエネルギーや優しさに満ちた国であることがわかります。ネパールの知られざる顔を探るべく、総力特集しました。
karrimor とネパールを旅して
- [ リッジ40 ]
登山家たちに愛される、カリマーの代表的モデル、リッジ。背面システムに3Dバックパネルが内蔵され、背負いやすく、疲れにくいのが特徴だ。頭を上に向けることの多くなる岩場や急登といったシーンにおいても、リュックの上部が邪魔にならないよう調節が可能。ハーネスやヒップベルト、背面デザインが改良されるなど、本格派が選ぶ理由はこの細部へのこだわりがあるためだ。ポイント
- エアメッシュ素材を配置し、吸汗・速乾性に優れた快適さ。
- ハーネス、ヒップベルト、背面デザインの改良でフィット感が向上。
- 小屋泊やテント泊にも対応するサイズ。荷物整理に便利な2気室構造。